2016年3月1日(火)
驚いたことにもう3月です。時間が過ぎる早さには参ります。昨日の高浜原発、「ON」で警報音が鳴り響いたニュースにも驚きました。笑ってしまってはいけません。それは不謹慎です。
認知症の家族と共に生活するのは大変だと思います。遺族に損害賠償を求めるなら、JRにだって事故をなくすためにもっと対策を取る余地はあったのではないかとも言えそうです。でも、実害があったことを考えるとJRが遺族に要求したことを一概に非難することもできません。とりあえず周りをよく見て歩こうと思います。
本:『震災復興の政治経済学 -- 津波被災と原発危機の分離と交錯』齋藤誠(2015年 日本評論社)
とびらのところに「本書は、東日本大震災学術調査(2012年度から2014年度)および課題設定による先導的人文・社会科学研究推進事業『非常時における適切な内奥を可能とする社会システムの在り方に関する社会科学的研究』(2013年度から2015年度)の成果の行間を伝える私的な出版と位置づける」とあります。得られた資料をじっくり読み込み、そこから見えてきたことについて一般向けに書いてくれたということのようです。結論の根拠となる資料や時系列の報告書なども示され、大切なところなんですが、なかなかじっくり読みきれなくて飛ばしてしまいました。
関係者は皆、置かれた立場での最善を尽くされたのだと思うのです。でも、全体で見た時に「やっぱりおかしい」という方向に動いているとわかった時、軌道修正させられる立場にある人たちの中に嫌われ役をやってくれる人がいない。東電から電気を送ってもらっているわけではなく、納得できない負担を押し付けられているとわかっていても、日々の生活に追われていることを言い訳に何もできないでいます。何ができるのか。
津波の高さが本当に「想定外」の規模だったのかどうかで東電元幹部が裁判にかけられることになっていますが、この本を読めば、問題は別のところにあるようです。本の中で繰り返し指摘されてますが、たとえ津波が「想定外」であったとしても
《p.321》
福島第一原発で起きたことは、事故時運転操作手順書であらかじめ想定された範囲と規模にとどまっており、現場が遵守すべき行動規範も明確に定まっていた。現場の対応がそうした行動規範から大きく逸脱したために原発周辺に甚大な被害がもたらされたのである。
一方、政府は、今般の原発事故を「想定外」の大津波によるものとして取り扱い、事業リスクを引き受けていたはずの金融機関や投資家を免責する一方で、電力利用者や納税者にも負担を転嫁するという、きわめて変則的な損失負担の仕組み(原賠機構)をドサクサにまぎれて作り上げた。
2月23日付けで紹介しました『原発メルトダウンへの道』にもありましたし、先日「マニュアルをちゃんと見てなかったからメルトダウンの判断が遅れた」ということが報道されたこともあわせて、官庁が守るべきは誰なのか考え直して欲しいところです。
春の苗植えに備えて耕したところ
虫や、逃げ惑う何かの尻尾が見えたと思ったら
すぐにやって来た小鳥です。
スズメだろうと思っていたのですが
「チュンチュン」ではなく
「カチッ、カチッ」と言いました。
「うぐいす色」みたいな気がするのですが…。
何者でしょうか。
(2016年3月1日記)
その後、「探偵ナイトスクープ」をたまたま見た友達が「ショウビタキ」らしいという情報をくれました。初めて聞く名前です。もしかしてウグイス? と思ったりしていたので、ショウビタキには失礼ながら、ちょっと残念でした。昔からこの時期に見られる鳥なんでしょうか。(2016年3月8日記)
2016年3月8日(火)
朝起きるなりクシャミです。この暖かさといい、近隣から漂う沈丁花の香りといい、春です。筋肉の縮こまりがなくなるのは良いのですが、色々なものが飛ぶ、すっきりしない季節です。明日、本当にそんなに寒くなるのでしょうか。
今週は東日本大震災から丸5年になる週です。資材や人件費の高騰で、店舗建設を諦めた人や家賃の高騰で賃貸契約を諦めた人の話を聞くと、やはりオリンピックはもう少し先で良かったに違いないと思います。それにしても競技場はどうなるのでしょうか。
本:『震災復興の政治経済学 -- 津波被災と原発危機の分離と交錯』齋藤誠(2015年 日本評論社)
先週もご紹介した本ですが、「おわりに」のところ《p.330》に「一般向けの書籍として本書の出版を決心したのには、政治学者が中心の東日本大震災学術調査において私たちの経済学的な論考が必ずしも好意的に受け取られなかった経験も影響していた」として、復興予算の額が大きくなっても、ともかくすぐに国民が納得する数字を出すことが「政治的には」重要であり、政府がいったん数字を出したら、決して減らすことはできないということが書かれてありました。
現実の動きは、政治学者たちのいう通りであった。第8章でみてきたように、復興予算をできるだけ大規模にしようとする動きは、政権交代をもたらすほどの強力な政治的勢力となった。また、政権が交代するやいなや、「復興の加速」というスローガン以外にさしたる実証的根拠もないままに、5年間で19兆円の復興予算が25兆円に拡大された。
19から25というとそれほど違わないという感じが一瞬しますが、単位が兆となるとこれはとんでもない増加額です。自宅さえ確保できない人が20万人もいるといいます。その人たちをおいてきぼりにしたまま、「復興事業」が進んでいます。
2016年3月15日(火)
「(笑)いしい商店」に新着あります。最初のは前回の「新着漫画」でも紹介されていた高市早苗ネタです。何度見ても面白い。最近コンビニ弁当食べてませんが、いつも利用していたファミリーマートがなくなって工事をしていると思ったら、セブンイレブンになっていました。ほー。
今日のローカルニュースで「岡山県 非行率ワースト1位脱す」とありましたが、これってどうなんでしょう? 「件数が減った」ではなく? じゃ、ワースト1位はどこ?
もしかしたらトランプ氏自身も最初はここまで支持されるとは思ってなかったかも知れません。ピケティ氏の新聞記事によれば他の候補者も負けず劣らず詐欺師なのだそうで、選択肢がないのはどこも同じということでしょうか。
本:『裁かれた命 -- 死刑囚から届いた手紙』堀川惠子(文庫版2015年 講談社)
1966年に強盗殺人の罪で死刑を宣告された長谷川武は死刑を求刑した最高裁検事や弁護士などに獄中から頻繁に手紙を書いていた。現在なら恐らく死刑にはなっていなかった被告の裁判がどのように行われたのか、長谷川はなぜ強盗殺人をしてしまったのか。受け取った人々が保管していた手紙を読みながら、関係者の苦悩も丁寧に拾い上げ、死刑を執行することの意味を考えようと訴えています。
その生い立ちが犯行理由の全てであるはずはなく、「なぜ?」はどうしても残ります。ヒトの思考回路は不可解です。あまり息子に愛情を注いでいなかったように見えた母親は死刑が執行された数年後に自殺したそうです。
絞首刑がどのように行われているかという記述も最後にあります。実際に裁判に関わっていると、中には「死でもって償え」と思わせるような凶悪犯も確かにあるようです。でも、「目の前からいなくなればそれで終わり」で良いのでしょうか。「悪」をすべて排除することが不可能である以上、その存在を認めて赦し、何とかして「悪」ではない方に向かわせことができないか。IS関係の報道を見ても、そういう考え方をするしかないのかもと思います。
裁判は限られた時間内に、提示された資料を元に、被告の人生を左右する判決を出さねばならない。裁判員裁判ではその責任を市民が負うことになります。
《p.429》
死刑判決に関わった多くの法曹が語ったように、裁きの場で相手に科したその重みは自らが抱える重みとして跳ね返ってきます。これらのことを何も知らないまま、ある日突然、クジで選ばれて人を裁く場に駆り出され、短期間に人の命を左右する判断を強いられることはあってはならないと思います。
裁判員裁判で死刑判決も出ています。本気で考える機会になるという面もあるとは思いますが…。
何年か前に植えたチューリップです。
咲いた後も放ったらかしにして
すっかり忘れていたのに
翌年から毎年ちゃんと咲いてくれます。
年々背丈は短くなっているようだし
色も毎年違っています。
今年も無事咲いてくれるのか。
天気予報通り、今日も寒かったですが
きれいな青空でした。
2016年3月22日(火)
トルコに引き続き、ベルギーでも連続テロ。しかもブリュッセルの空港という、メジャーな場所で。つい先日、テロリストの潜伏先で容疑者の一人を逮捕したものの仲間を取り逃がし、かなり警戒していたのだろうと思うのですが。未然に防ぐことができた場合はあまり大きく報道されないだけに、被害が出てしまうとテロリストを勇気付け、市民を恐怖に陥れることになりそうで。
地方と都市の地価の差が報道されました。地方はもう二十数年地価が下がり続けているのだとか。そんなに安くなったら普通なら買う人が現れるはずでしょうけれど、掛け声むなしく、地方再生は難しそうです。都市部の値上がりも結局は投資目的で買う人に振り回されているのではないでしょうか。庶民はいつもとばっちりを受けるわけです。
全日空のシステムトラブル。4台ともダウンするってどういうことなんでしょう。これで「原発のシステムもやっぱり不安」などと言うと「飛躍しすぎ」と批判されそうですが。
本:『作家の収支』森博嗣(2015年 幻冬舎)
森氏の文章は小説も含め、読んだことはなかったのですが、赤裸々によくここまで書いてくれました。ミリオンセラー作家でなくてもこんなに儲かるんだと率直に驚きました。森氏にとっては小説を書くのはそれほど大変なことではなく、小説家は「意外に将来性がある」なかなか良い商売だという評価のようです。出版社は電子書籍とどう絡んでいくかが重要課題とのことです。
《p.189 「ママ」ではないです》
作家はともかく量産すること。1作書いて反響を待つという時間の無駄をしない。今ではまずネットで名を成してから出版社に売り込むという方法ができた。公開して多少の反響はあってもそれを気にしてはいけない。マイナスの反響で落ち込んでも、プラスの反響で有頂天になるのもダメ。この切り換えができないとプロにはなれない。大事なことは、ここの反響ではなく、反響の「数」だ
いきなり電話で「印税はどれくらいいただけるんでしょう」と訊ねられたことがありました。これまでに本を出したことも書いたこともない人からの質問でした。「憧れの印税生活」というセリフをよく聞き、「そんなに甘くない」と心の中で思うのですが(恐らく言った本人も)、この本を読むと「案外できるかも」と思う人も多いのではないでしょうか。森氏自身が名古屋大学の教員をしていて安定した収入があったわけで、印税で優雅に暮らせる小説家を目指したわけでなく、少しまとまったお小遣いが欲しくて(趣味の模型のため?)書いて出版社に送ってみたら賞をもらえた、ということだそうで、簡単だったのでしょう。
「1億円儲けた」というのは、事実を述べただけで自慢ではない。「凄いでしょ」が続くと自慢。この本ではよく問われることに対して事実として答えただけだ、ということです。
今年は椿も例年より早めに咲いているようです。
近隣を歩いていても
斑入りや花びらが多いもの
色とりどりに咲いています。
桜もボチボチ咲き始めているようですが
花粉もいよいよ本格的に飛び始めることでしょう。
春になるのがただただ嬉しかった頃もありました。
2016年3月29日(火)
マイクロソフトの人工知能Tayのことです。ネットでの会話に、学習しながら参加していたら、差別発言を連発するようになって撤収されたそうです。 やっぱり地球には人間がいない方が良いとコンピュータが判断し、自己改変して人間を襲う。SFで描かれたストーリーが現実となる日が来るのかも知れないと思わせるニュースでした。
安全保障関連法が施行されました。国内の反対意見を無視して勝手にアメリカと約束して、その約束を守ったことになります。アメリカはそんな安倍氏が率いる日本を本当に信用しているでしょうか。日常生活に全く変化がないだけに、いきなりとんでもない現実を突きつけられることになるのかも知れません。国内の問題がなかなか改善できそうにない時、外に国民の目を向けさせようとするのは政治の常套手段です。今日はハイジャックのニュースも飛び込んできました。武装することで安全保障になるのかどうか。
あれほどに混乱しているシリアから日本に来てサッカーの試合をやっているというのはどういうことなんでしょうか。シリアの選手はどんな思いでサッカーをやっているのでしょうか。それにしても再三のチャンスをなかなかものにできない日本も歯がゆかった。
本:『ぼくらの仮説が世界をつくる』佐渡島庸平(2015年 ダイヤモンド社)
恥ずかしながら『ドラゴン桜』(600万部)も『宇宙兄弟』(累計1600万部)も読んだことはありません。今度読んでみようと思います。
「仮説」という言葉にちょっとひっかかるのですが、内容的には「なるほど」と思うところがたくさんありました。講談社から独立して「コルク」という会社を立ち上げ、新しいことに挑戦しながら、これからの編集者としての仕事を模索して行こうということのようです。もともとサボりたいのが人間で、意志で努力を続けることは難しい。努力を続けるために「仕組み」を作る。つまり習慣を少しずつ変えていくというやり方を実践されています。
また、会社を辞めて起業するというのは大したリスクではない、ということで
《p.193》
現代人が感じる恐怖や不安というのは「努力をせずに現状維持をしたい」という思いから生まれる恐怖です。そう考えると、現代は、リスクと思えることなど、ほとんどありません。
必死で食べ物を探さないと生きていけなかった頃の人から見ると、私たちは本当に生ぬるいことでしょう。若い人たちの中には、原発がなくなって電気を自由に使えなくなったら「生活レベルを下げなければならなくなる」ということに恐怖を覚えて原発維持を支持する人もいるようです。根は同じ感じがします。
肌寒い中、桜がボツボツ咲き始めていました。
この気候だと今年はゆっくり桜を
楽しめるのかも知れません。
BBQはできれば風下でお願いしたいですが
外で食事をするのが気持ち良い時期ではあります。
新生活に向けて高揚した気持ちで迎えた春
挫折して立ち直らなければと
苦しんだことを思い出させる春
桜の花びらが華やかにもなり
残酷にもなります。
(ホームページ担当:藤野)