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2015年9月1日(火)

本 : 『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』 矢部宏治(集英社 2014年)
 一ヶ月前に読んだのですが読後のショックがまだ尾を引いています。

 そうした日米安保をめぐる膨大な取り決めの総体は、憲法学者の長谷川政安・名古屋大学名誉教授によって、「安保法体系」と名づけられています。その「安保法体系」が、砂川裁判の最高裁判決によって、日本の国内法よりも上位に位置することが確定してしまった。

 なるほど。だから自衛隊や基地に関する判決がそういうことになるのか、と納得しました。議論をしてもしなくても、アメリカが望めば安保法案を通すしかなく、その後で憲法改正するということでしょうか。日本ができる国際貢献は集団的自衛権の行使よりも、ちゃんと独立した上で「とりあえず、武器の輸出はやめましょうよ」とアメリカを始め、各国にお願いして回るというようなことではないでしょうか。実際には使えない核兵器の不拡散は後回しにしてでも、その他の武器をまず不拡散にする方がテロ対策にも実効性があるように思いますが。
 それにしても「支持率下げ止まり」は何を意味するのでしょう。

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 2013年9月から山陽新聞で連載が始まった『まぁ映画な、岡山じゃ県!』続編(いしいひさいち/世良利和)は先週の金曜日(28日)の第24回「悪魔の手毬唄」をもって一旦お休みさせていただきます。このあと、書籍化を目指して編集作業に入ります。紙面では描き/書ききれなかった内容も含めたいと目論んでいます。2年間ご愛読いただきありがとうございました。そして今後にもどうぞご期待ください。

 

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2015年9月8日(火)

本 : 『紋切り型社会』 武田砂鉄(朝日出版社 2015年)

 戦争について「語る資格」をあえて問うなら、それは現代に対する目的意識の有無で測られるべきではないか。

 戦争を知っている世代の中に勇ましいことを言う人がいる一方で、戦争を怖がってデモをする戦争を知らない若者がいる。「教え子を二度と戦場に送らない」という張り紙を見ながら通学した身としては、今の若者を頼もしく感じると同時に、私たちが「何であんな無謀な戦争を止められなかったのか」と上の世代に問うたように、「何でこんなになるまで放っておいたのか」と言われても仕方ない現状に申し訳なく思います。

 他に、「ヤフーメール 見られない」で検索した時のコメントと「ヤフーメール 見れない」(「ら」抜き)で検索した時のコメントの勢いの違い、という指摘も面白かったです。言葉も生きているということで、ひとまずは「ら」抜きも受け入れてみることで言葉の世界が広がります。

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 安倍氏が無投票で続投。このまま安保法案が通るのでしょうか。というか、通さないことが日本にできるのなら、その道筋を専門家は示して欲しいです。そのために私たちに何ができるのか。

 

 この週末は豊島を観光して来ました。島民が中坊公平弁護士と共に産廃問題に挑んだ島です。当時は今以上に大変な闘いだったことと思います。一致団結できた島の人々への敬意を抱きつつ港に降り立つと、小さな島漁村独特の素朴な雰囲気に旅気分が盛り上がりました。移動にはレンタサイクルの電動自転車を利用しました。電動自転車は初体験だったのですが、上り坂を何とか乗り切ることができ、下り坂では信号がない道を疾走し、爽快でした。「豊島美術館」では私が持っていた「美術館」という概念を根底から覆された(予備知識なしで行ったものですから)展示に身を委ねて、心地よく居眠りしてしまいました。

 そして、今季はまだ食べてなかったかき氷もいただきました。「いちご家」の「ふわふわいちごミルク氷ソフトクリーム入り」です。おいしかったです。いちごのソースが自家製ならではの自然な味でした。お陰でやっと心置きなく夏を終えることができます。

 

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2015年9月15日(火)

本 : 『日本とドイツ ふたつの「戦後」』 熊谷徹(集英社 2015年)

 ドイツのメディアは、霞ヶ関で行われる市民の反原発デモの映像を時折流す。だからドイツ人の間では「市民の反対が強まっているのに、なぜその意見が政治に反映せず、原発推進派である自民党が選挙で勝つのかわからない」と不思議に思う人が少なくない。

 昨日の世論調査の結果でも原発再稼働に反対する人や安保法案に反対する人の方が多いのに、安倍氏や自民党を指示する人がそれほど減っていない。ということは、「これらのことは気にはなるけれど、ともかく経済を何とかしてくれたらそれで良い」ということでしょうか。

 過去と真摯に向き合った故の多額の賠償、過去の反省の上に立つ人権意識、公共放送局は国家の放送局になってはならないとの判決、問題は多いけれども原発回帰はあり得ないと断言する覚悟などなど、詳しく知らなかったドイツと日本の違いを学びました。日本はまだ民主主義を身につけていないように見えます。安倍氏は「国民は何も知らないから」と思っているのかも知れません。それなら情報公開して欲しい。マスコミもジャーナリストらしく追及して欲しい。アメリカの要望に応えるための法案だとしたら、アメリカが安倍氏に求めるのは恐らく国民を納得させる手腕のはずで、このまま強行採決となったら安倍氏はアメリカの信頼も失うのではないか、と思うのですが、的外れでしょうか。

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 地震、津波、火山噴火、台風、水害、竜巻、高温、冷害、今のところ聞きませんが干ばつもあるかもしれません。原発再稼働、新たな基地、オリンピックなんてことを言っていてよいのか、と多くの人々が思っているはずです。今回は被災者にならなくてもいつその立場に立つことになるかわかりません。「長年住んでいるけど、こんなことは初めて」と多くの人が言っていました。水害の被災者は今日も不安で眠れない夜を過ごされていることでしょう。

 

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2015年9月22日(火)

本 : 『牛と土 福島、3・11その後。』眞並恭介(集英社 2015年)

 ほぼ1年前、岡山市内で開催された小出裕章氏と吉沢正巳氏の講演会に行きました。小出氏は福島の事故のずっと前から反原発を訴え続けてこられた研究者です。淡々と話される姿勢にこれまでの苦悩を想像しました。私だったら「ほれ見たことか!」と大声で発言しまくってひんしゅくを買っていたでしょう。一方吉沢氏はあまりの理不尽な現状を、時に感情を抑えることなく訴えられました。現場を知らずに下された国の決定に抗うのは生半可な正義感で続けられることではありません。

 立ち入り許可をもらいに行ったオフサイトセンターで、耐えきれずに発せられた吉沢氏の「責任」への覚悟は、組織の枠組みの中に埋もれてしまい、個人として考えることを放棄してしまった被雇用者の心に響いたでしょうか。ちょっと長い引用になってしまうのですが、とても重要な発言だと思うので。186ページのところです。

 僕は、原発事故による警戒区域とはなんなのか、そこを取り仕切っているオフサイトセンターとは何かということを問おうと思っている。

 

 浪江町の人たちは町を追い出されて帰れない。(略)事故が起きたとき、浪江町には、国からも、東電からも、オフサイトセンターからも、事故に対してなんの連絡、伝達もなく、住民は津島に三日間避難して、そこで放射能をかぶってしまった。

 

 オフサイトセンターの責任は大きい。大熊町のオフサイトセンターは、本来なら原発の事故対応の最前線で対策を講じるべきなのに、果たすべき役割を果たさず、さっさと自分たちが逃げてしまった。最後まで頑張ってみんなを避難誘導しようとしなかったし、浪江町の避難している人のところには、連絡もよこさなかった。

 

 僕は牛飼いとして、今もなお三五〇頭の牛を生かしつづけている。残りの人生を懸けて、この牛と運命を共にしながら、つぶされた浪江町の無念、原発事故の悲惨さを伝えたいと思う。原発もない町が、なんでこんな汚染被害をこうむっちまうのか。

 日本が原発再稼働に向けていよいよ動きだそうとしているときに、僕は言いたい。くやしい気持ちをかかえたまま帰れない人がいっぱいいる浪江町の二の舞を演じることになるよと。時限爆弾のスイッチが入るんだよと。

 牛たちは生きた証人ですよ。再稼働に抗議をする生きたシンボルですよ!

 以前、家畜としての牛はもしかしたら、人間の食料となることを十分に理解した上で飼われることを受け入れているのかもしれないと思ったことがあります。とても思慮深い生き物のようです。この本を読んでやっぱりそうに違いないと思いました。今日も汚染雑草をたっぷり食べて眠りについていることでしょう。今年は秋が早くて、厳しい冬が心配です。

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 70年間日本が戦争に巻き込まれることがなかったのは日米安保、特に「核の傘」のお陰なのでしょうか。憲法9条があったからということもあるのかもしれませんが、何より皆が「もう二度と戦争は嫌だ」と強く思ったからではないでしょうか。

 民主党の岡田氏が「選挙で勝たせてもらったら今回の安保法を白紙撤回できる」というようなことを言ってましたが。民主党勝利のその後のこともあるし、信用できないんですよねー。特定秘密保護法施行、武器輸出三原則撤廃、文民統制廃止、そして今回の安全保障関連法成立、と着実にやりたいことをやってきた安倍政権です。後は経済さえ順調なら国民は忘れるだろう、というように聞こえた今日のコメントでした。軍拡せずに、「国」ではなく大多数の庶民の生活を守る方法を野党には提案して欲しいわけなんですけど。

 

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2015年9月29日(火)

本 : 『沖縄 本土メディアが伝えない真実』古木杜恵(イーストプレス 2015年)

 琉球新報の普久原論説副委員長によれば:

 海兵隊の性質や軍事技術に詳しい当の米国が沖縄に置かなくてもいいと提示した。日本政府が沖縄に過重な基地負担を強いているのは抑止力という軍事技術上の問題ではない。沖縄に基地を置くのはいいが本土には置きたくないという意識の表れではないか。

 県外、つまり本土に基地を移転することを認めてしまうと選挙に勝てないからだと。 でも、アメリカの提案で「グアムへ」という話もあったように聞きましたが、こっちも進まなかったのはなぜでしょう? そもそも昭和天皇がなぜ沖縄に米軍が残ることを希望したのか知りたいところです。

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 国連も70年なんですね。オバマ氏とプーチン氏の硬い表情の後で映された、小走りに近づく安倍氏のあのにこやかな表情。外相会談で「領土問題については一切話していない」と言われて岸田氏は憮然としていましたが、「実はウラで日本にとって良い話があったのですよ」というのでなければ、あんな嬉しそうな顔ができるはずはない。安保関連法を可決しておきながら、ウクライナ問題もシリア問題も関係ない で済むものでしょうか。

 

 インドネシアの高速鉄道は中国が受注することになったそうです。中国は自信満々ですね。いずれにせよ、もはや日本は中国に勝とうなどという考えは捨てて、国連の言うSDGsを率先して実行する方向に転換して欲しいです。これまでは国連の役割に懐疑的でしたが、もしかしたらこれからが勝負どころなのかも知れませんね。

 

 

ナス上カエル

自然栽培に移行して4年目。

土作りらしいこともせず、単なる手抜き栽培になっていて

秋ナスといっても小さいのが少し収穫できるのみです。

ただ、有機栽培していた頃は虫もぎっしりいて

葉がボロボロになりましたが、今はそんなことありません。

カエルにとってもちょうど良い量のエサがいるでしょうか。

 

 

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